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「なんで? ダメに決まってるでしょ」 「だって、さっきチラッと見えたの、すっごく可愛かったから。黒地にシャンパンベージュのレースでしょ。もっとよく見たい」 猪瀬は、お洒落好きだ。 派手な格好はしないけれど、身に着けるものに気を配っている。 しかし、男建てらによくまあそこまで観察したわと感心する。 このブラは私のお気に入りの、普段よりちょっと値の張るものである。 だからと言って見せる相手もいないし、仕事は制服ではないので、更衣室で同僚にチェックされたりなんてこともない。 その内緒のお気に入りを認めてくれたのだから、つい嬉しく思ってしまった。 顔には出さないけど。
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