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思い切り腕を突き上げてグイッと伸びをすると、お疲れ様ですと声が掛かった。
「良かったら、どうぞ」
「ありがとう!」
デスクの上には季節問わずミネラルウォーターのペットボトル、時々ある缶はブラックコーヒーという私が、22時を回る残業の後に甘ったるいミルクティーを飲むことを知っているのは、猪瀬くらいのものである。
「終わりました?」
「うん、ようやく。猪瀬は?」
「俺も終わりました」
私の隣である自分のデスクについた猪瀬が笑う。
甘い紅茶とその笑顔に、ホッと一息ついた。
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