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営業職という仕事柄、通勤はジャケット必須。 顔も男顔なのでヒラヒラした服は似合わないから、可愛いよりカッコイイを目指すしかない。 三十路で外回りも多いとなれば、持ち物だって堅苦しいものばかりになる。 だから、人目に触れない下着くらいフェミニンなものを、と選んできた結果だ。 それを猪瀬に見られて、純粋に楽しめなくなっていたが、これでまた一人の楽しみに戻れる。 一人で買って、一人で着て、一人で満足して何が悪い。 悪い訳がないと、どこか薄ら寒いような気持ちには蓋をして私は、もういいかな、と猪瀬に言われて以来身に着けていなかった水色のブラを手に取った。
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