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猪瀬とはいえ一応男子なので気恥ずかしいけれど、後輩女性社員はガツガツ働く私を怖がっているし、頼りの先輩女性社員は面倒は猪瀬に任せとけとばかりに託したのだろう。 文句一つ言わず、にこやかに引き受ける猪瀬が目に浮かぶ。 だから、女どもに舐められるのだ。 「酔っ払った黎子さん、初めて見ました」 なぜだか嬉しそうな猪瀬を見上げる。 いつもは偉そうな私がへたっているのが嬉しいんだろうか。 元気だったら、バシッと釘を刺してやるところだが、残念ながら体はだらしなく弛緩した状態だ。 力が入らない。 頭が痛い。 視野が狭いし、油断すると視界がぐるぐる回る。 吐き気は我慢できるレベルなのが幸いだ。
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