第1章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
「…ねぇ、執事? 私はいつまでこの部屋にいればよいのかしら?」 「…申し訳ございません。もう少々お待ち下さい」 「それさっきも聞いたわ。この本もう四周目なのだけど?」 「ですがお嬢様、旦那様からあちら様が到着されるまでお待ちいただくようにと…」 「待てって言うけど、世のお見合いはこんなにも待たされるものなのかしら。女を待たせる男は嫌いよ」 「然様ですか…」 「ところで執事、暇だから新しい本を買ってきて頂戴」 「そう言われると思いまして先程宿の方に頼んでおきました」 「さすが執事ね」 「ただ、謎の雪崩で道路が寸断されてしまったためにお時間が掛かると」 「そぉ、謎の雪崩でぇ。執事、貴方は女を待たせる男ってどう思う?」 「いえ、私の口からじゃなんとも…」 「違うわ」 「はい?」 「貴方はいつも私のこと待たせないわよね?」 「えっ」 「ふふっ、待たせる男は嫌いよ?」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加