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「お願いします、またいつもと同じ毎日に鳥の唄を、私は聴きたいっ」
これが彼女の願い、美しい願いだ。
「ここに、美しき願い事、をお納め奉り致します」
その時、パアアアーンっと大きな音が聞こえた気がした。
あゆみちゃんが辺りを見回すが何も変化は無い、だけど私の方は心が読める力が無くなった、願いを奉納したからだ。
「あ、聞こえる」
あゆみちゃんが何かに気づき慌てて外へ行こうとした。
「鳥の唄が聴こえる」
そう言ったので、私も慌てて外へ出た。
「チチチッチチチチチッ」
雀だった、鳥が戻ってきたのだ。
空を見上げれはまだ無数の鳥が羽ばたいていたが、宛もなくただ飛び回っている様子だった。
「鳥だ、鳥達が戻ってきてくれたんだ」
嬉しそうに笑う、あゆみちゃんの心はきっと喜びに満ちているのだろう。
「良かったね、あゆみちゃん」
「うん、ありがとう、のりお姉ちゃん」
大陸からの悪しき風、未曾有の危機も避けたのだろうか、詳しい所は分からないが、鳥はまた空を飛び回り、唄う。
「鳥さんも帰ってきたかな」
それも分からないが、多分初めての大空を充分楽しんだら、きっとまたあゆみちゃんの元に戻ってくるよ、いつか必ず。
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