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「のりちゃんに言いたい事があるって」
私は静かに頷くと、鷲に向かって言った。
「なんなりとどうぞ、私は人の心が読めます、あゆみちゃんを通してあなたの意思も伝わります」
あゆみちゃんは少しきょとんとした後、私を見上げた。
「ごめんね、内緒にしてね」
彼女は微笑んで頷いた。
「うん」
再び鷲が語り出す。
「クワッカカカ」
あゆみちゃんが目をつむり、その歌に聞き入ると私も彼女の左手を取り目を閉じた。
彼女の優しさと純粋さが澄みきった青の様に流れこむ、私の心もそれで満たされると、そこに大きな鳥が羽を広げて飛んでいった、どんどん高く、小さくなっていった。
「の、のりちゃん」
目を閉じたままの彼女の言葉に応える。
「大丈夫、聴こえています」
彼女を通じて鷲のメッセージが伝わる。
《ありがとう人間の娘よ、アユミはまだ幼い、お前のような神力を持つ者を私は待っていた、これから話す事は、私達はもとより人間社会に対しても大きな影響をもたらす事になるだろう》
あゆみちゃんが通訳に困って口を開いた。
「あ、あの」
「心配しないで大丈夫よ、あゆみちゃんは聞いているだけで、私にもちゃんと聴こえてるから」
《今この地方、いやこの国に甚大な危機が迫っている》
驚いた、だが今はまだ黙って話を聞くことにした。
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