第1章

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『寺は嫌だ、寺は』 候補の内の1つに、話し合い前から早速反対意見が出た。俺にしか聞こえていないけれど。 「じゃあ、どこか行きたい所ある人いる?」 朝日奈さんが取り仕切る。 張り切ってる姿も可愛いよ、朝日奈さん。 『寺以外ならどこでもいい』 さっきから寺院巡りコースを嫌がっているのはきっと大人し男子の寺田(てらだ)だろう。 名字でからかわれた事がトラウマになってる系とかだろうか。 『あれ絶対徒歩で長距離コースだ。歩きたくない。っつか外出たくねぇ』 と思ったら、普通に動きたくないだけっぽい。 『んー、しいて言えば散策がいいかなー遊歩道とか公園とか、カメラ持って行っていいんだっけ?』 こっちは朝日奈さんに言われて考えてる感じだから、川瀬(かわせ)さんだろう。 同じく大人しい感じでも、彼女は歩くのが好きみたいだ。写真が好きなのか? 『美術館行きたいなー、動物の絵画展やってるんだったよね』 朝日奈さんですね、解ります。 もふもふ動物見たいよーと聞こえてくる声は、機械音っぽいけれど彼女だという事だけははっきりわかる。 よし、俺も美術館コースを推そう。感想文は苦手だけど、どうにかなる! 朝日奈さんの好感度を上げる事を考えながら、残るもう1人の声に注意を傾けた。 『めんどくせーし、どこも行きたくねえよ。サボりてえ』 はい、ヤンキーの乙川(おとかわ)決定! 彼は狂犬とかいうあだ名があるらしい。 鋭い眼つきしてサボりてえとか思いつつも授業には毎日出ているから、よく解らない奴だ。 『つーか話し合いもダリィ。全部日程決めとけよ、自由行動つってもどこが自由だ』 名字はちょっと可愛いけど、顔怖えよ。プライバシー保護されても声も怖えよ。 確かに自由度の低い事は認めるけど。4択だから。 他にあともう1つフィールドアスレチックの選択肢があるけれど、皆で協力して何かさせられるらしいから、このメンバーじゃ行かないだろうな。
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