第1章

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「私写真撮るの好きだから、自然公園行きたいかも」 プリントに高価じゃなければカメラ可の文を見つけ、川瀬さんが発言した。 「あ、いいね!小鳥とか居るのかなあ」 『は?!草とか見て何が楽しいんだ?虫とか絶対居るだろ、最悪』 朝日奈さんと、乙川の心の声が同時に聞こえてくる。 「あ、俺寺以外ならどこでもいいよ」 寺田が言った。 『あー、それも最悪だな。寺とか石段上るのあれ何の苦行だ、修行かよ』 こっちは行かない事に賛成らしく、平坦な感じに聞こえてきた。全部に反対なんだろう。 「大塚(おおつか)君は?どこがいい?」 小首を傾げて可愛らしく朝日奈さんが俺を見る。 「俺は美術館かな?何か動物の絵画展やってるみたいだよ」 プリントにも書かれていたから、それを指しながら言う。 『やったー!!ありがとう!』 「大塚君、動物好きなんだ?なんか可愛いね」 可愛いのはあなたです! 心の声もなんだか弾んでいるような声質だ。 『適当に解説読んで書きゃ終わるから、一番マシか?でもタリィな』 水を差すように微妙に賛成よりの意見が聞こえる。 「乙川君は?」 怠そうにどっか違う方向向いてる乙川にもちゃんと尋ねる朝日奈さん。ホントいい子だな。 内心ニヤニヤしている俺とは真逆の仏頂面で乙川は呟く。 「……どこでも」 『……めんどくせぇ』 わかるわかる。 こっちもすぐに誰だか判断できる解りやすさだ。逆にこのメンバーでよかったかもしれない。
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