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その日は、とても寒く晴れていた。
雲ひとつない青い空。
なぜ空が青いのか疑問に思った。
僕の住んでいる町は、都会には程遠いが田舎と言うほど田舎ではない。
コンビニだってあるし、隣の駅にはショッピングモールだってある。
だが、なぜだか田んぼが多い。昔の名残なのか。
子供たちは田んぼと田んぼの間にある細い道を通りながらカエルを探したりしていた。
僕も久々にその道を歩きたくなったので歩くことにした。
「カエルの鳴き声を近くで聞くのはいつぶりだろうか。」
本当に久しぶりだ。大人になった今、田んぼの間にある細い道を通ることがない。
「それにしても、今日は本当に寒いな。雪が降りそうだ。」
空を見ながら僕は、そう言った。
10分くらい経っただろうか。
道の真ん中にひとつ。綺麗な鈴が落ちていた。
その鈴を拾って振ってみるととてもきれいな音が鳴った。
僕は鈴が好きという訳ではないが持って帰ろうと思った。
本当は落とし物として交番に持って行くべきなのだろうけど、鈴ひとつ持って行っ
ても持ち主が見つかる訳がない。
「この鈴が幸運の鈴でありますように。」
なんてあるはずないのに。
来た道を帰ろうと思い、後ろを振り向いたとき。
遠くに女性が立っているのが見えた。
これが僕と彼女の最初の出会いだった。
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