継げ、さもなくば

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結局、僕たちは予定の飛行機に乗れなかった。 というのも、彼女が空港に着いた途端、 「この空港限定のアイス食べたいの!」 と言って、アイスを勢い込んで食べ、 「うっ…ゴメン、待ってて」 とトイレへ駆け込んだきり、なかなか戻って来なかったからだ。 彼女が満面の笑みで、 「いやー、油断した!」 と戻ってきたとき、丁度、僕たちが乗るはずだった飛行機が離陸した。 僕は彼女のこういうところがたまらなく好きで結婚したのだ。 「まったく、お前というやつは」 「へへへ」 次の便の予約をどうするかと、話しあっていたとき、 地響きとともに、ドゴーンという尋常でない爆発音が聞こえた。 まさか… 僕の予想は的中した。 先ほど飛び立ったばかりのあの飛行機が、まっすぐ滑走路に落ちてきたのだ。 皆、呆然と立ち尽くしていた。
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