継げ、さもなくば

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僕は晴れて、養子になった。 新婚旅行はハワイ。彼女はとても楽しみにしているようで、 「このお店は外せないわね」 と、ネットで検索しながらにやけていた。 旅行当日。空港へ向かうタクシーの中で、母から電話がかかってきた。 「乗るの…やめなさい、飛行機」 「母さんまで、あんな迷信信じてるのか」 「お願いだから、乗らないでちょうだい」 「もう、飛行機の席だって、ホテルだって予約してあるんだ」 「お父さんが、どれ程心配してるのかわからないの?」 母は泣いてるようだった。 「もう、あの人は父さんなんかじゃない…縁を切られたんだから」 「お父さんはね、あなたに呪いが降りかからないように縁を切ったのよ!なんでわからないの!」 「そんなの…知るかよ」 僕は電話を切った。そのまま電源も切った。 「大丈夫ぅ?」 彼女が心配そうに僕の顔を覗き込んだ。
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