6人が本棚に入れています
本棚に追加
金髪の男が弾の装填が終わったのか、銃器を全身に携えて広場へとライトブロンドの瞳を向ける。
「オイオイ。一直線に並ばれたんじゃつまらないだろ。それともフライド様の銃弾に耐えるか!?」
元々話の通用する男ではなかった。ここらの国では大量生産されているスナップというハンドガンの銃口を白髪の女へと向け、スナップが火を吹く。
白髪の女の左肩からパッと血が噴き上がり地面に飛散。煉瓦造りの地面は彼女の血を吸うかのように浅黒いシミになる。白髪の女は声を上げる訳でもなく、表情を少し歪めるだけ。
「タフな女だな。痛いのは慣れてるのか?」
再度スナップが火を吹く。次は右腕に掠り傷を作り握ったままの少女の手に血が線を描く。
「やめてっ」
少女が傷だらけになる白髪の女の姿に耐えられず小さく声を漏らした。
金髪の男、フライドは後ろに隠れる少女の表情にご満悦のようで趣味の悪い笑みを浮かべる。更に引き金を引き、白髪の女の左太腿を撃ち抜いた。プシュッと勢いよく血が噴き出し更に地面を浅黒く染める。痛みのあまり左膝を地面に付くものの何とか立ち上がろうと力を入れるが、立ち上がる事は叶わず、後ろにいる少女を屈ませひたすらに庇おうとする。
「お願い……お願いだから! もうやめてぇぇぇえ!!」
少女の叫びも虚しく、次の銃声が聞こえた。手を繋いでいた白髪の女の手にビクッと力が入った。
「もう……やだよぉ」
強く握られた手に温もりがある事に、守られている事に、昨日会ったばかりの自分にここまでしてくれた人が傷付く事に少女は声を出し、号泣。
「テメェ……何をしたッ!?」
しかし、聞こえてきた声は驚きを隠せないフライドの声。少女が白髪の女を見上げると、白髪の女も上を見上げるように体が固まっていた。その彼女の目の前には、黒いカーゴパンツに灰色の袖の長いシャツを着た黒髪の男が立っていた。
「逆に聞くが、お前がフライド・ヴァインで間違いないか?」
黒髪の男は真っ黒な右手を開くと、潰れた銃弾が地面の上に音を立てて落ちる。
「ほう……だったら?」
フライドはヘラヘラと笑いながら、スナップをもう一丁手に取ると二丁の銃口が黒髪の男へ向けられ、一斉に銃声が鳴り響く。
しかし、黒髪の男はもとより後ろにいる白髪の女も少女も無傷だった。
「アンタの首を取りに来た」
再び黒髪の男の右手から潰れた銃弾が落ちた。
最初のコメントを投稿しよう!