何気ない時間が幸せなんだ

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 寝室を出てリビングのソファに倒れ込むように座る。  恥ずかしい。ものすごく恥ずかしい。 「アレはやばいって」  足をばたつかせてクッションに顔を埋める。  ドキッとした。  浩介に言われた時は微笑ましく思っていたのに、信崎が相手だと胸の鼓動が落ち着かない。  唸り声を上げている所に、脇腹にくすぐったさを感じて、 「ひゃっ、え、何?」 「こちょこちょ攻撃」  と浩介が真野の脇腹をくすぐっていた。 「ちょっと、浩介くぅん」 「さっきの仕返し。ほら、もっとだ、浩介!」 「え、信崎さん、ひゃはっ、もう、だめぇ」  降参と、掌を浩介の方へ向ければ、信崎が良くやったと浩介の頭を撫でまわす。 「えへへ」  得意げに見上げてくる浩介君と信崎に、真野はキュンとしながら二人に朝食にしようとキッチンへ行くように言う。 「はーい、ママ」  なんたる不意打ち。  声を合わせて言う二人に、真野は目を大きく見開いてかたまる。 「な、なっ」  そんな姿に、悪戯が成功したとばかりに手を合わせてキッチンへと向かう二人。 「あぁ、もぅッ!」  この親子、どうしてくれようか。  一人、真っ赤になる真野に、キッチンから信崎が呼ぶ声が聞こえる。 「はい、今行きます」  なんだかんだ考えた所で、結局は好きな人の笑顔の前に勝てるわけがない。  真野はしょうがないよねとため息をつき、愛しい人の待つキッチンへと向かった。 【何気ない時間が幸せなんだ・了】
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