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離れない、ずっと一緒だよ
呼び止められて、振り返るとそこにはカノジョがいた。
あの時に約束した言葉が、頭のなかで鮮明に蘇る。
「離れない、ずっと一緒だよ」
海よりも深く愛していたのに、ぼくはそれを記憶の水底に沈めていたんだ。
その遠い過去の、幼かった日々の記憶が、水面に浮かぶ泡のように弾けた──
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ぼくは孤独だった。愛に飢えていた。
小学校でイジメられていた。
まわりの子供とうまく喋れなかった。それは、ぼくが引っ込み思案だから。
それとほんの少し、母子家庭だったこともある。母は働きづめだった。昼はパートで、夜はコンビニのレジをしていた。
子供は残酷だ。ほんの少しの差違が、大きなイジメに直結する。
コンビニでレジを打つ母を見て、「お前の母ちゃん、コンビニ母ちゃん」とからかわれた。
わざわざ母のレジに並び、ぼくから巻きあげたお金で菓子を買った。
ばくは心のなかで泣きながら、顔では笑っていた。ぼくにむけられる手は、イジメのゲンコツだけ。
すぐに不登校になった。たまたま風邪で休んで、それから学校へは行けなかった。
毎日働いている母に申し訳なかった。こんな悪い子はいらないと思った。
きっとぼくがいなければ、毎日働かなくてもいいと考えた。母に迷惑がかかるから。
死を考えた。自殺を思った。孤独だったから。
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