第七章 誰でもなく誰か

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「引っ越ししたのかな……」  家の跡地に立ってみると、人の思いが残っているようだった。 「引っ越しではないよ、建て直ししたのだそうだ」  琥王が、子供に話しかけ、事情を聞いていた。  敷地の奥に、最近建てられたような、民家が一軒あった。 「よし、映像は撮った。帰ろう」  案外、近い場所だったのかもしれないが、 子供にとっては遠い国と同じであっただろう。  再び神社に戻ると、女子中学生が溜まっていた。 何だか、近寄ってはいけない感じがする。 俺が、逆方向に向きを変えたが、琥王はそのまま神社に行ってしまった。 「恋人は、どこですか?」 「あの、学生ですよね」  琥王が、質問責めにあっている。 俺は、逃げると、近くの商店に入ってみた。 片隅に駄菓子のコーナーがあり、幾つか購入すると外で食べてみた。
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