ドラゴンさんからお手紙来ました。

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 カタンと音を立て扉が開いた。扉というより板と言った方が良いかもしれない。岩と板の隙間が所々開いていた。  ティリアは素早い動きで上掛けをはね退け後ろの壁側に低い体勢のまま飛び退いた。 「ふふっ。駄目よぉ、警戒するなら叫ぶ前にしておかなきゃ。」  扉から現れた女はにこやかに口に手を添え上品に笑った。ティリアよりも少し年上に見えるが若い女だ。光沢をみせる臙脂(えんじ)色の肩まである髪が暖炉の灯りにゆらゆらと揺れている。彼女は楽しげに珍しい金の瞳をすっと細めた。  確かに女の言うことはもっともだ。自分が安全かどうか分からないうちに騒ぐとは、命取りもいいところだ。ティリアは数分前の自分を叱りつけたくなった。 「でも、安心して。私たちは怪しいものではないのよ。」  安心できるかどうかはティリアが決めることだ。訝しげな目を女に向ける。  彼女の着ている厚めの生地で仕立てられた褐色のワンピースはこの地域では珍しいものではない。平民が普段着として着るものだ。両手は分厚そうな碗に添えられていた。 「うふふ。あなたを呼んだのは私たちなの。ようこそ花嫁さん、私はレッドドラゴンのマリア・アウガイルよ。」
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