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アーファルがレックスを鋭い目つきで睨むが、やはりレックスはどこ吹く風だ。
「つまり、爺様はこの事を知ってたってこと?」
知っていたから悲壮感もなく簡単に村から放り出したのだろうか。孫娘の鳩尾(みぞおち)に拳をめり込ませるのはどんな事情にしろどうなんだとティリアは思う。
「知ってるもなにも発案者だ。」
「そうそう。だからお嫁さんの事も本当は良く知ってるのよ。ティリア・ルームーちゃん。会えて本当に嬉しいわぁ。これから仲良くしましょうね。」
さらりと答えてくれるレックスとマリアにティリアの理解が追い付かず一拍止まった。だが次いでテーブルを拳で思いきりどんっ叩いた。目の前の木皿がことことと揺れる。
テーブルは固くては小指が痛んだ。だが、そんなことはティリアの怒りの前には些細な事だった。
「クソジジイ! クソジジイ! 爺様のぶぅわかああぁぁっ!!」
「あらあら。」
アーファルは隣で喚くなと言いたいところだったがティリアの気持ちもよく分かった。彼も最初に話を聞いた時は怒鳴りに怒鳴った。取りあえず彼女にも気が済むまで叫ばせてやろうと左の耳を塞いだ。
しばらくは続きそうだったため、アーファルは冷えてしまった食事を再開させた。
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