ドラゴンさんからお手紙来ました。

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「大変な事になった。」  ティリアがそう聴かされたのは夕食の準備をしている時だった。ティリアが見知らぬ部屋で何時間だか何日だか寝ていたのかは分からないが、その時はとにかく夕日が村を染めていた。  年頃の娘たちと変わらない身長のティリアよりも頭一つ分低いエグトルの頭のてっぺんは暖かな光を反射していた。  森の中にある村、パラ村の広場には深刻な顔をしている男たちがいて村長であるティリアの祖父エグトルが彼女の手を引いて現れるとなんとも複雑な戸惑ったような顔をした。  そこでエグトルはくるりと反転してティリアと対面する。後ろで束ねた横に残った白髪がリボンのようにひらりと舞う。 「さて、リア。儂(わし)はお前が可愛い。だがお前は村長の孫だ。」  ティリアは異様な雰囲気に目をあちこちに動かしながらも頷いた。 「だからちょっとドラゴンの花嫁になってこい。」  エグトルはティリアの肩を軽くぽんっと叩いた。 「は? 爺様(じじさま)意味わかんない。」  エグトルの口調はまるでちょっと買い物行ってこいと同じくらいの気安さだった。
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