ドラゴンさんからお手紙来ました。

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「可愛い妹のためにこの僕が身代りとして生け贄になりましょう!」  確かに青みがかった黒髪や深い森の瞳もすっと通った鼻の形も玉子型の輪郭もよく似ていた。兄妹と言われなくても分かるほどに似ていた。それでも誰もが思ったことだろう。お前じゃ無理だ、と。  まるで冗談のようなトーラスの登場だが、彼はこれを至極真面目にやっている。悲壮感漂う端正な顔が痛々しいほどだ。 「女装するならせめて腋毛とすね毛くらい剃ってこんか。」  ぼそりと呟かれたエグトルの言葉にティリアは思わず頷きそうになった。  エグトルは村の男たちに目配せするとひらりと右手を振った。トーラスが数人がかりで押さえつけられ、さらに首を狙って殴られた。がくりと巨体から力が抜ける。 「トーラス兄さん!? 爺様(じじさま)っ、なんて事を!」 「だーいじょうぶ、あれくらいなら数刻もすれば起きるさ。……お前もな。」  エグトルの声にはっとして振り返ろうとしたときには身構える暇もなく腹に衝撃を受けて崩れ落ちた。  ティリアは腹立たしいことこの上ない事を思い出して上掛けを拳で叩いた。
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