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そもそもの話。
この奥勢という町に関する記述自体が少ない。
奥勢の開発が開始された八年前ーーそれ以前には、そもそも現在の<南区>と呼称される地域以外は、国内でも有数の広大な森林が広がっていたとのことなのだ。
そう、<南区>。
あの怪人のテリトリーだけは、他の地区とは違い、昔から存在し続けているのだ。
となるとやはり、手がかりは<南区>に行かなければ手に入らないのだろうか。
「…………………………」
あの場所に足を踏み入れるのには、抵抗があった。
僕は前回の一戦で、あまりに多くのものを失ってしまっている。
今でも全身に残る、筋肉痛と打撲痕。
消えてしまった対馬さん。
そして極めつけに、僕は今もーークラゲの無事を確認できていない。
対馬さんも伊予も、彼女が生還したことを前提に話を進めていた。
しかしそれは何の保証にもならない。
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