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炎は、またしても勢いを増した。
もうこれ以上燃やすものも無いだろうに。それとも、酸素の存在する限り暴れ狂ってやるとでも言うのだろうか。
そんな中に、『あの人』は立っている。
僕と共に立っている。
「私の人生を、この饐えたジャンクフードのような一生を照らしてくれたのは、いつだってそんな法螺吹き達だったよ」
法螺吹き?
音もなく、僕は復唱する。
「夢追いビト、ってやつさ」
ガラガラと、遠くで何かが崩れる音がした。
崩壊が近いのだ。そうなれば僕は助かることができないだろう。
一方でそれは、この地獄からの解放も意味していて、僕は、
「いいかい、立派になんてならなくていいんだ。君程度の人間に変えてもらおうなんて世界は思っちゃいない。当たり前のような、つまらない人生を歩んだって、その失敗すらも私は悪いとは思わないよ、だから――」
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