第1章

4/9
前へ
/9ページ
次へ
僕は体が弱かった。だから、いつも診療所にお世話になっていた。 知らずに食べ続けていた耳の素が、僕の成長と共に形を成していく。 変化がおきたのは高校3年の5月だった。 朝、いつものように顔を洗う為に腕捲りをした時、悲鳴をあげた。 腕に耳があった…。 何が起きているのかわからない。ただ恐ろしくて恐ろしくて恐ろしくて。 気持ち悪い…気持ち悪い…気持ち悪い…。 ひとつ耳が出来ると次から次へと耳が出来た。 左腕が耳だらけになり、右腕も耳だらけになった。 寝ている間に耳が皮膚を突き破って表面に出てくる。 怖い…。助けて…。 毎日、恐怖と気味悪さと、これからどうなってしまうのかと不安に怯えていた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加