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友のステータスがまるで吹き出しのように表示される。坂内はそれをじいっと見たが、不思議には感じず、ただ鬱陶しかったので消えてと呟いた。するとそれはたちまち消え、視界が良好になった。
「皆起きたんだ」
「起きたんだ、じゃねぇよ。どこだここ」
真っ先に口を開いた元気な奴は桐井だ。相当混乱しているように見える。無理もない。
ここは、自分達の知らない世界なのだから。
他の友も混乱するなか、坂内は何故か落ち着いていた。慌てることができなかった。慌てるべき状況であることは重々承知しているのだが、坂内はこの景色に頭の痛くなるような既視感を抱いていたのだ。非常に見慣れた色むら、強いブルーライト、指にできたペンだこ。
草を抜いてみる。あり得ない、本来ならあり得ないはずの瑞々しさ。嗚呼、一応生きているんだ、この世界は。ちょっと嬉しくて、怖くて、不思議だ。
だってここは、僕の描いた世界。
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