第1章

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3時間前ーー。 空中飛行は夜行性だと蝙蝠や梟ぐらいしかいない。ただ異質なのは人工衛星や飛行機ぐらいだ。人類はみるみるうちに発展した。 私達のような妖霊達の魂は人々から遠く離れた自然で育った。私は自然を見、自然を学び、自然を愛した。だが、人類とは遠く離れ過ぎて、動物の形で具現化する他、生き残る道は無かった。 私は妖霊族の先輩、鬼頭人生(キトウヒトミ)から直々に人類が狐狩りをするのを辞めさせるため、駈流美亞街を担当させられた。これは重大な任務だ。もし、上手くいけば800年後、妖霊族の神主(カンヌシ)になれる。それの意味するところは人類以外の知的生命体を全て操れるということなのだ。 私が神であるこの世界なら君をもう一度、具現化させることもできる。 私は蝙蝠や梟のように夜の街を飛んでいた。 食欲を催させる人間の感情エネルギーがたむろしている場所で立ち止まる。妖霊族は生命の感情エネルギーを食して生きて来た。 街の街灯に反射して一瞬、私の姿が現れた。白い髪を伸ばした7歳ぐらいの少女が今の私の姿だ。食欲に気が緩んで耳と尾が出っ張るのに気付く。目を閉じてスッと消した。 看板の文字を見て倒れる。 〈ダイスカフェーーサイコロの目ーー〉最後に見た文字にはそう書かれていた。
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