第1章

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私と咲夜は会話にならない会話をしていた。 「で、お前どこから来たの?」 「遠い所」 「ふーん。言いたいことは?」 「空が飛べるよ!」 「で、虫は大丈夫な訳?」 しばらくすると、赤いリボンを長いストレートの黒髪の両端に結んだ女の子が宿泊所から降りてきた。年齢はおそらく16歳ぐらいだろう。咲夜は25歳と自称していた。 「誰か壁にぶつかった?」 私はミイナを指差した。 「寝ている所を階段から落とされて、布団から転げ出たらぶつかりました」 女の子は私をマジマジと見た。 「君…」 私の心臓が高鳴る。妖霊族とバレただろうか。バレたら、殺さなくてはならない。咲夜は既に決まった。 「寝癖なのかアホ毛なのかハッキリさせて」 私は余りにもの想定外の質問に言い淀んだ。 「アホ毛です。多分」 いきなり、ツカツカ歩み寄られる。髪の毛を一本取られた。体だけ人間のため、髪の毛は蒸発した。 「アホ毛ではなく幻想毛でしたか…」 私は少し慌てた。 「それ、何?」 「本当は存在しない毛のことです。ウィッグのより楽しいものですね」 「楽しいの?」 「はい!」 女の子は取って置きの笑みを浮かべて私の瞳を見据えた。 「私、刹那(セツナ)」
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