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翌日から澪はぱったりと家に来なくなった。
家に電話をかけても誰も出ない。
澪の家に行っても誰もいない。
「何か、事件に巻き込まれたのかしら」
「やめてよ、母さん!きっと、おじさんと旅行に行ってるんだよ」
「そ、そうよね」
でも
俺に一言も言わず・・・?
「明里にも何も言わなかったのか」
「うん」
「俺も何も知らないや」
明里と聡に聞くと、二人も澪について何も知らないようだった。
澪がいなくなってから一週間。
夏休みの終わりも近い。
「あたし、ハルんちに澪が最後に来た次の日、澪を見たよ」
「え?」
明里は突然俺に言った。
「すごく暗い顔をしていた。声をかけたかったんだけど、すぐその後におじいさんの車に乗り込んじゃったから・・・」
「誘拐じゃないのか!?それ」
「違うと思う。澪のおばさんの葬式で見た事がある人だったから」
「何で早く言わなかったんだよ!明里!」
「だ、だって一週間もいなくなるだなんて思わなくて」
明里は泣きそうな顔で言った。
「落ち着けよ、ハル。明里を責めるな。澪ならきっと大丈夫だよ。知らない人について行くようなバカな奴じゃない」
「うん・・・」
「新学期になったら元気に登校してくるよ、きっと」
「ああ、ありがとう。聡・・・」
だけど・・・
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