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「忘れたってどういう事よ・・・」
「明里、聡・・・」
明里と聡が来た。
「あたし達がどんな気持ちで!」
「や、やめろよ。明里」
「突然姿を消した上に記憶喪失ですって?ふざけないで!」
「明里!!やめろよ!!」
俺は明里を怒鳴る。
「ごめん・・・なさい。本当に私、貴方達の事を覚えてないんです。おばさんの話だと、小6の春休みの時に交通事故で・・・」
「交通事故・・・」
「思い出せなくてごめんなさい!」
「もう良いわよ。あたし、澪ともう関わる気ないし。じゃ」
「待てよ!明里!」
明里が出て行くと、聡は明里を追いかけた。
「ごめんな。明里が・・・」
「良いの。忘れた私が悪いのだから」
「み・・・桜井・・・」
「えっと、貴方の名前は・・・」
「ほ、本城遥」
「本城くんか。宜しくね!」
本城くん・・・か。
「い、今はどうしてるんだ?親父さんと二人暮らし?」
「親戚のおばさんと住んでいるの。父は病気で・・・」
「そ、そうか」
「本城くんとあの人達は・・・」
「明里と聡。小学校が一緒で。小学生の時、いつも一緒に遊んでた」
「私も?」
「あ、ああ」
「そっか。私、前の学校女子高だったから男子と遊んでたなんて想像がつかなくって」
「その制服、S女だろ?」
あの名門校の・・・
「うん。だから男子はあまり慣れてなくて。でも、本城くんは話しやすいみたい。幼なじみだったからかな」
「そう・・・かもな」
「びっくりしたな。昔の私を知っている人がいて」
『私』か。
俺の知っている彼女の一人称は『澪』だった。
それだけ月日がたったんだ。
彼女だって成長する。
「でも、本城くんも明里さんみたいに関わりたくなければ離れて・・・良いからね」
「え?」
「記憶を無くした私はきっと君達の知っている桜井澪じゃないから」
「み・・・」
「桜井さーん!」
「はーい!」
澪は先生に呼ばれ、先生の元へ。
離れて良いからね・・・って。
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