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それは3年前、俺が18歳だった頃。あの時から彼女、高槻 晶ータカツキ アキーはクール系だなー。なんて思っていた。サバサバしていて、それでもってはっきりとした性格。頼りになるその女の子は不思議なところもあって時折放課後机に突っ伏して寝ていることがあった。
「帰らないの?」
「んー。帰りたくないんだよね」
「なんかあった?」
「…別に」
それは本当に偶然。部活が終わり教室に忘れ物を取りに戻った時だった。
日の沈み暗い教室で机に肘をつきぼんやりと外を見る高槻が綺麗で思わず見とれた。もうすぐ下校時間だと言うのに帰る気配を見せない高槻が気になって声を掛ける。
しかし返ってくる答えは淡々としたもので、声を掛ける俺の方へ顔を向けることもなかった。
「あ、そ。けど下校時間だしそろそろ出た方がいんじゃないの」
「そうだね」
言いながらも立つ気配など見せなくて、それがなんとなくもどかしくて。放っておけば良いのに俺は隣の席へと座った。
「進藤?」
ようやく振り向いた高槻は不思議そうに瞬きを繰り返す。その顔がなんだか泣きそうに見えて、何故か俺は高槻の頭を撫でていた。
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