君と僕の変化。

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その日から俺は毎日高槻と帰るようになった。教室で話すのではなく、一緒に帰りながら話す。手を繋いだりはしなかった。たまに公園に寄って話したり、寄り道したりはするけれど、それでも休日に会ったり手を繋いだりはキスをしたりとかそういう恋人のようなものは一切なくて。ただただ一緒に帰る毎日。 高槻が俺を好きなのかどうかなんて分かるわけがなく、なんで付き合ってんだ?と何度も首を傾げた。 それでも、高槻と居るのは苦ではないし楽しいとも思っていたから一緒に居た。時折お昼を共にする日もあったが、それは高槻がいつもお昼を一緒に食べている子が休みの時とか用事がある時だけで、いる時は俺には話し掛けるどころか目を合わすこともなかった。 「なあ、今度の休み暇?」 「あー。ごめん、奈々と出掛けるから」 「またかよ。本当に仲良いなお前ら」 「ごめんね」 「や、良いけどさ」 本当は良くない。高槻はいつも奈々と居たから、俺は少なくともやきもちを妬いていたと思う。なにせ朝の登校も、お昼も、そして休日も高槻は百瀬奈々と居たから。 「翔」 「なに」 呼ばれてもぶっきらぼうにしか返せなくて、高槻の顔は見ることが出来なかった。だからその時どんな顔してたかなんて分かりもしなくて。 「翔は、もし同性に告白されたらどうする?」 「何それ。想像したくもないんだけど」 「そっか。あ。買い物頼まれてたの忘れてた。やっば、ごめん翔。また明日ね」 「は?え、ちょ、高槻!?」 呼び止める間もなく走り出した高槻の姿に俺はただ困惑するだけで、追い掛けることも出来なかった。それが、高槻と一緒に帰った最後の日で、翌日から高槻は学校には来なかった。そのまま卒業式が来て高槻と会うこともなく俺は大学へと進学した。どうしてるのかとか、何があったのかとか、何度も考えたけれど、高槻に連絡を取る術は俺にはなかった。
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