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「ああ、それともう一つ。言いたいことがあったんだ」
新田君は、ぱんぱんと砂を払って立ち上がると、私の方へと振り返った。
その瞳は、すごく真剣で…
私は、その瞳から目を逸らすことが出来なかった。
「好きだった。
入学式の時、俺に笑いかけてくれた
あの日から」
ぽつり、ぽつりと呟かれるその言葉に、私は顔を赤く染めた。
だって、そんなのって……ありえない。
「そんなの……早く言ってよ」
「えっ、ご、ごめ」
こぼれた無数の涙は、頬を伝って流れ落ちた。
目を見開いて、慌てている新田君に近づいて、私はぎゅっと抱きしめた。
「そんなこと、わざわざ言いに来てくれたんだ…?」
「そ、んなことって」
「ウソ、ありがとう、新田君」
そう言って、私は静かに抱きしめる力を強くした。
両想いだったなら、もっと早く、告げられたのに。
「新田君、私も、好き」
好き、そう何度も呟いて、私は新田君を抱きしめていた。
新田君の、柔らかい髪の毛が首に触れていて、なんだかくすぐったかった。
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