第1章

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俺の前で、優雅に本を読んでいる彼女。いつも読んでいる本のタイトルは変わらない。 彼女は、想いが叶うとページが増えていくのだと言った。 どうかしたの?難しい顔をして。 いえ、いつ読み終わるかわからないその本は怖くはないですか? 全然、と彼女は笑った。すべてが読み終わったその時は……と彼女は先を濁した。読み終わるイコール恐らく、推測でしかないが命が消える事を示唆しているのではないかと。 相変わらずページは増えていくわ。私が何も想わなくても、心の片隅の想いが勝手に綴られていく。ずっと、ずっと。 では、一つお願いが。 何かしら? もしもいつか、貴女がその本を読み終わったら俺に下さい。たとえ、俺が先に逝ったとしても一緒に埋めてください。 (俺と貴女の秘密として、墓の下まで一緒に持って逝きましょう)
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