素直になれない君

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あの子が泣きながら走って行ってしまった。僕は話を全部聞かれたと勘違いしていた。 恥ずかしさから君が泣いていることに早く気づけなくて泣いていたと分かったのは先生に言われてからだった。 『好きなんです!付き合ってください!』 呼びだされて言われたことはそんなことで、僕はあの子と一緒に帰れなくてイライラしていた。 『ごめん、好きな人がいるんだ。』 告白の答えなんて決まっていた。 あの子のことを考えるとイライラが消える。 彼女はまるで断られるのを分かっていたかのようにため息をついて、やっぱりね。と言った。 『その子のこと本気で好きなんだね?』 そんな質問は愚問だと言うように僕は答えてやる。 『あぁ、本気で好きだ。』 とニヤッと笑って言ってやる。僕があの子のことを好きなのは当たり前のようなことで少し照れる。 『ーーーー』 ん?なんか話し声するなと思ってそっちの方向を見ると理科の先生とちょうど今話していたあの子がいた。あれ?何でいるのかな?と思ったら声に出てた。 聞かれちゃったかな?と恥ずかしくて顔を合わせられない。次見た時にはもう、あの子はいなくて驚いた。 『あのひとはなぜ泣いていたのでしょうねぇ?』 先生が僕におかそうな顔で問う。そこで初めて自分の話が聞かれていなかったことに気づいた。何か勘違いさせてしまったのだろう。慌ててあの子を追いかける。 このまま誤解されたままでは行けない気がするから…。 あの子が僕のことを好きなのは知っている。 自惚れとかじゃなくて分かるんだ。顔に僕が好きだーって書いてあるから。 どんなにきつい言葉で僕を攻め立てていても、ホントは僕と話せて嬉しいって顔をしている。 可愛い、好き、なんて言うと顔を真っ赤にしてでもそれを隠そうとクールにしているところとかが可愛くて、僕の言葉を信じていないんだろうなと思っている。 まだ、それでも良いかと思っていたけど… もうそれじゃあ我慢できないみたいだ。
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