第1章

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公式戦で勝った回数は数えるほどの、弱小チームだった僕ら。 俺たちの小学校の野球部は、ついに最後の大会を迎える事となる。 それは、全部で8チームしか参加していない小さな大会だ。 1回戦、ギリギリの戦いだった。 正直勝てたのが不思議なくらいだった。 2回戦、当然僕らよりも強い相手だった。 途中までまったく点を取れず負けるんだと思った。 当時サードを守っていた俺は、どんなに苦しい場面でも投げ続けるエースの顔を横からずっと見ていた。 奇跡が起きた、3点を取り逆転しついに決勝まで進む事ができた。 小学校3年生から大会に出てきて初めての決勝だ。 決勝、俺は前日も投げたエースを助けるために、何とかして塁に出ようとした。 けどダメだった。 1打席目、2打席目と内野ゴロばかりで何もできなかった。 そんな中サードを守っていた自分の横にライナーが飛んできた。 がむしゃらに飛びついた、ボールはグローブの中に入っていた。 そして俺たちは吹っ切れた、あと1点。 あと1点を取れれば優勝できる。 このファインプレーの後エースが三振を取り、4-4のまま最終回に突入した。 俺はネクストバッターサークルに入り、先頭バッターが塁に出る事を祈った。 そして俺の打席が回ってきた、塁には俊足のあいつがいる。 ここは当然盗塁のサインが出る。 あいつなら絶対にセーフになってくれる、こんな弱小チームでもあいつの足だけは信用できる。 俺はバントの構えを見せるとあいつは走り出した、結果は当然セーフだ。 そうなると俺の役目は少しでも1点を取りやすくする事、当然セフティバントのサインが出るだろうと確信していた。 しかし監督はバントのサインを出さなかった。 いつもならバントのサインが出るのが当たり前だった、二番打者である俺は他のみんなより、バントだけは上手かった。 どうして監督は俺に打てというサインを出したのか。 気が付けばカウント2-3になっていた、2球、3球とファールを打つ度に相手もコントロールを乱してボール球を投げてくる。 このままフォアボールで出塁しよう、俺はそう考えていた。 しかしその後何球ファールを打ってもボール球が来る事はなかった。 いい加減俺も疲れてきた、こんな中途半端な事していていいのか。 今まで優勝なんて諦めてた俺達、最後の大会でやっとここまでこれたんだ。
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