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わたしのママ、というのはなんだかよく解らないお呪いと儀式と、運命、という単語を固めたらだいたいそっくりが出来る。
わたしのパパ、というなはなにも固めなくてもいい。長い長い単身赴任と単身赴任の狭間に一瞬だけお家に来て大抵次の日にはいなくなるから。
というような内容の作文を、学校の授業で読み上げたことがある。一時間目と二時間目の授業で作文を書いて、三時間目の授業参観で発表しよう、という授業だった。しん、と空気が固まったあとに、ほら、寒凪さんちの奥さん、「そういう」宗教にハマっちゃってるから……というささやき声が聞こえた。
その当時仲の良かった友だちがわたしを心配そうに見てきた。わたしはたぶん、ことん、と首が千切れそうな動作で首を傾げた。だって、本当のことだものね。しょうがないよ。
名簿順で発表ね、と言ったことを後悔してるであろう先生が可哀想だった。この空気はどうすればいいの、と言いたげな顔。寒い凪と書いてカンナギ、と読むわたしの出席番号は十一番目。
山田、とかだったらたぶんわたしまで順番が回らないで授業が終わったのに、ね。
ごめんなさい。
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