林檎幸福論

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         * しがないOL五年生の一人暮らしにある嗜好品に分類される食料品は、どうしてもお菓子類に偏ってしまっている。飲み物はといえばミルクティー、コーヒー、ダイエットにいいと先輩からもらったゆず茶。このゆず茶の味が嫌いで、かれこれ三週間ほど持て余している。 「ミルクティーとコーヒー、あとゆず茶もあるんだけど、どれがいい?」 テレビの前のソファにちょこんと座った女の子に声をかける。くるりと振り返った彼女は、こちらにぱたぱたと歩いてくる。 「うんと……ゆず茶、でいい」 「ゆず茶?ミルクティーじゃなくていいの?ミルクティー好きでしょう」 「うん、そうだけど……でも、このゆず茶、お姉さんがあまり好きじゃないんじゃないの?」 「え、あ、うん。どうして?」 「パッケージにシワと折り目がついてるし、ずっと奥にあったから……だから、お姉さんが好きじゃないから、ずっと置いてあるんだと思って。わたしが飲んでみる」  「まぁ、それでいいならそれでいいけど」 そういうと女の子はぱたぱたとソファに戻る。そうだ、たまに嫌味に感じるくらい察しのいい子だったんだ。
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