子供時代 2

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その日母は朝からいなかった。 サキは台所で何か食べる物がないか物色をしていた。 運が良ければポテチがあるはず。 最近の母親のお気に入りらしい。 下の棚を開けて、隣の棚を開けて、中を探る。 ガチャリと玄関が開く音がした。 戻ってきてしまったらしい。 焦りながら出したものをしまう。 漁ってたことがバレたら殴られる。 ガサゴソしていると後ろから声がかかった。 「ガキかよ。」 振り向くと何度か部屋に来たことがあるおじさんだった。 髪もヒゲも伸びっぱなしで不潔を絵に書いたようなおじさん。 少し汗臭いにおいがした。 「っち。かーちゃんはどこ行った?」 サキは何も答えなかったのは怖かったからだ。 「無視かよ。クソガキが。」 そのまま帰るかと思ったが、おじさんは今に向かいテレビをつけて座椅子にドカリと座った。 母親以外とこの部屋に二人きりは初めてでサキは怖かった。 ベランダに逃げたい。 けど、居間を通らないとベランダには行けなかった。 サキは台所で息を潜めて座っていた。 おかあさん、早く帰ってきて。 お願い。 けど、何時間経っても母は帰ってこなかった。 気づくとおじさんが近くにいる。 アルコールを飲んだのか顔が真っ赤だ。 「ったくよぉ、てめぇの、かあちゃんいつになったら帰ってくるんだよぉ!」 おじさんがサキの腕を掴んだ。 「いたい!」
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