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サキは可哀想な子供だった、
その生活は悲惨という言葉が似合う。
父は最初からいない。
家族は母ひとりだけ。
しかしその母も子育てを放棄。
ネグレクトだ。
ご飯も満足に食べさせてもらえず、学校にも通わせてもらえなかった。
サキの母は男が部屋に来るとサキをベランダに出した。
夏ならまだましだ。冬は突き刺さるような寒さの中、ずっと待っていなければならなかった。たとえ男が一晩部屋に居座ったとしても。
手の感覚もなくなり、冷たさが痛さとなり身体中を襲う。そして何より寒さは生きるエネルギーを奪っていく気がした。
「死にたい」と思うのは、寒空の中ひとり凍えている時。
そんな中、たったひとり助けてくれる男の子がいた。
「大人になったらお前を迎えにいく。それまで待ってろ。」
別れの日、鼻の横に傷をもつ彼はサキの頭をグリグリ撫でて優しく笑った。
ずっと信じて待っていた。
大人になってからも、彼はそんな約束忘れてる。たかが子供の言う戯言だ。そんな風に思いながら、心の底では、いつか迎えにきてくれる、そう思っていた。
そして彼はサキの前に現れた。
「持ち物を床に置いて、手を上げろ!!!!!」
迎えにくるって、こーゆーことだったんですか?!?!
カズ兄!!!!
カズ兄は銀行強盗犯として、サキの前に現れた。
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