1人が本棚に入れています
本棚に追加
艶やかな黒髪、
健康的なやわ肌に
凛、と澄んだ黒い瞳。
何処か機械的な笑みを浮かべてて、
そう。これこそ理想の--
「ああ、こんなの初めて…。
なんて美しく、心が揺さぶられるのでしょうか」
何故だ。
彼女の手には、
処分したはずの「悲しみ」のデータ本がある。
いや、そうじゃない。
どうして、彼女は悲しみをあんなに幸せそうに抱えているのか。
「あら、主様?
先程の御客人から頂いた、これ。
とても美しい感情なの。なんと言うのでしょうか。」
涙を溜めた瞳、うっすらと朱に染まった頬は
美しく、官能的だ。
彼女の感情を書き換えられた絶望や、彼女に対する怒りも深い。
しかし、それ以上に彼女の表情、雰囲気。
それに、思わず、息をのみ、
少し茫然としてしまったのだ。
僕は思わず、手を伸ばす--
最初のコメントを投稿しよう!