悪妻ニューウェーブ

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「奥さんに言ってあげてください」 「スタイルよくないもん」 「ひどいですよ その言い方」 「中身で選んだから」 「ちなみにきっかけは?」 「スキーだけど」 「ナンパじゃないですか」 「まぁ そういうこと スキー場では 最高の女に見えたんだけどなぁ 雪補正で」 「まさか奥さんに言ってないですよね」 「当たり前だろ 聞かれたら終わりだよ」 「ハハハッ 好きなんですね」 「今捨てられたら新しい女見つける自信ないし」 「そうなんですか」 「ナツミさんが相手してくれるならいいけど」 まるでキャバクラでの会話だ お客さんが来ないので三田さんの相手を やめられない 時計を見るとまだ1時だ あと1時間も相手するなんてちょっと疲れる そんな時50代くらいの女性が入ってきた  はじめてのようなので声をかけてみることにした 「何かお探しですか?」 「お店の人?」 「はい」 「宝石もあるって店の看板にあったから」 「あっ こちらです」 ショーケースに案内した 「夕方ちょっとしたパーティに行くんだけど この服に合うものがなくて」 「ネックレスですね」 「そう」 「このあたりのを見ておいてください 中にもあるのでちょっと合いそうなの持ってきます」 「お願いね」 いくつか見せると気に入ったようで 2つも買ってくれた 「センスいいわね」 「ありがとうございます」 「また何かあったら来るわ」 「お願いします」 友達にもPRしてくれそうだ 「珍しいな 高価なモノが売れるなんて」 「ウフフッ 給料泥棒にならなくて済みそうです」 基本的に売れるものは安いものだ 私の給料は時給900円だが 昼間ということもあって利益が出ることの方が少ない 今日は時間通りオーナーが現れた まだ三田さんは居座っている
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