悪妻ニューウェーブ

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「もうそろそろ」 「えっ」 「あっ いつも30分くらいで帰るでしょ」 「今日はもう少しいていいですか この店でバランスクレーを聞きながら 雑貨を見てると幸せな気持ちになるので」 「もちろん ずっといてもいいわ」 さすがに撮影の時間まではいないだろう ちょっと見てもらいたい気もした そのあとは昼まで親密な話が出来た 「いくつに見えます?」 「正直に言っていいですか?」 「もちろん」 「30くらいかな 大人っぽいので」 「ビンゴよ」 「本当ですか」 「ハハハッ 当てられると逆に困るわね」 「すいません」 「会社には同じ趣味の人いないんで」 「そうなんだ」 「休みはいろいろ出歩いてるんです ニューウェーブ系が好きな人とか多い場所に行ったり」 「ひとりで?」 「彼女いないんで仕方ないです ただ高校の友達がもうすぐこっちに来るんで」 お互いのことをいろいろと話した 「新婚さんなんですね」 「見えないかな?」 「結婚はしてると思ってましたけど」 「30に見えてればそうよね」 「あっ すいません」 「ハハハッ でも子供もいないし まだ人妻って実感ないんだけどね」 「そういうもんなんですか」 「まだ早いかもしれないけど結婚っていいわよ」 「珍しいですね 会社の人は結婚は墓場とか」 「他人にはそういうわよ 幸せ自慢なんて 聞いても楽しくないでしょ」 「あぁ そういうことですか」 「そんな人ばっかりじゃないと思うけど」 「幸せなんですね」 「そうね ただ出張多いのがちょっと・・・」 お客さんの高野くんにこんなことまで話すなんて 私はよっぽど人に飢えているようだ 「じゃあ 僕 そろそろ・・・」 「ごめんね 引き止めちゃって あっ レコード持ってくるね」 ずっといてほしかったが高野くんは帰ってしまった 話してる間に来たお客さんは1人だけだ それも何も買わずに帰ってしまった ただ昼を過ぎると三田さんもやってきたり 他のお客さんもやってきて あっという間に2時になった
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