悪妻ニューウェーブ

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そろそろ高野くんは来てくれないだろうか あぁ家にまで連れ込んだのがいけなかった 人妻ってだけでも面倒なのに 深入りすることに尻込みして当然だ ラブホにしておけばよかった ただ一度も入ったことがないので 使い方をレイコに聞いておかないといけない そんなことを考えていると 目の前に高野くんが現れた 幻かな 「どうも」 「あっ いらっしゃい」 「ハハハッ」 「ハハハッ」 あんなことまでしておいて いらっしゃいじゃさすがに笑ってしまう 「お久しぶりね」 「すいません」 「いいのよ」 「あの・・・ちょっと話いいですか?」 「中にオーナーが寝てるけどいいわ」 「寝てるんですか」 「かなり酔ってるみたいで」 「ハハハッ 自由ですね」 「そう この店は自由なのよ」 「僕・・・あの・・・」 「面倒よね」 「えっ!?」 「高野くんの立場から考えたらそうじゃない こんな人妻なんて面倒だなって それに家にまで連れ込まれて」 「そんなことないですよ」 「でも本当気楽に考えてね」 「いいんですか」 「まさか離婚するとでも思ったの?」 「いえっ 何の覚悟もないままあんなことをして いろいろ考えちゃって」 「覚悟なんてそんな・・・ あなたに抱かれたいだけだったのに」 「僕がちょっと考えすぎてたようです」 「じゃあ今まで通りね」 「はい」 「今日は夜仕事あるの?」 「は、はい」 「ねぇ またうちに遊びに来ない?」 「いいんですか」 「従兄弟のフリしてね もし誰か来たら」 「はい」 「っていうか 夫は2ヵ月近く留守なの よかったら一緒に住んでくれない?」 「えっ!?」 「ダメかな」 「それは・・・会社の人に何て言われるか」 「そっか寮だったね」 「でも彼女の家にいるって言えばいいかな」 「彼女?」 「あっ すいません」 「ううん なんだかうれしいわ」 そこでお客さんが入ってきたので一旦話をやめた すぐに帰ってほしいのにずっと品物を見ている 高野くんは仕事帰りで眠いはずなので 私は連絡先を紙に書いて渡すことにした 「はい これ」 すると笑顔を見せて帰っていった
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