悪妻ニューウェーブ

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店で働きはじめて半年が過ぎた 昨日また夫が出て行ってしまったので 寂しい日々がはじまる 仕事ははっきり言って楽だ 休みも自由に取れるので夫と旅行にも行けた 店番はオーナーと2人で交替で担当していて 私が休みでオーナーもいない時は臨時休業だ 昼の2時までが基本だがオーナーが遅刻すれば そのあとも店番をすることがある オーナーは長谷川カズマ 46才 毎日のように飲み歩いてる遊び人だ このお店も趣味でやっているのか お世辞にも儲かっているとは思えない ただ店にはプレミアのついた商品も いくつかあってそれはショーケースの中にある ただほとんど売れることはない 利益のほとんどは宝石の売買だろうと思う オーナーは鑑定出来るので 私だけの時はあとで来るようにお客さんに伝える 「いらっしゃいませ」 開店すると同時に毎日のように やってくる男の子がいる 会話はしていないが最近気になっている もしかしたら私目当てなのかもと思いはじめていた 「何かほしいモノあるなら伝えておきますが」 「えっ!?」 話しかけられて驚いている 確かにすでに2週間は来ていて はじめて声をかけられたからだろう 深追いはしない 声をかけられるのを嫌がるお客さんもいる 「どうぞ ごゆっくり」 「あの・・・」 「はい?」 「バランスクレーのレコードってありますか?」 「バランスクレー?」 聞いたことないアーティストだ 「アイルランドのニューウェーブで・・・」 きっと大好きなんだろう その話が延々と続いた 私は他にお客さんもいないので 相づちを打ちながら聞いていた
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