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「オーナーなら知ってるかもしれないですよ」
「まだ2枚しか持ってないので・・・
一度聞いてみてください」
「でもここまで話されちゃうと
どんな音楽か気になっちゃうわ」
「今度持ってきましょうか?」
「本当?」
話を合わせてただけなのに
その男の子は盛り上がっている
男の子と言ってるのは見た目で
この時間に高校生が来るとは思えない
すると聞く前に自己紹介をしてくれた
「僕 高野ススムって言います」
「あっススムくんね」
「工場で働いてるんですけど夜勤なので
この時間に来れるんです 9時に終わって
食事するとちょうど10時くらいなので」
「じゃあ 今から寝るのね」
「はい でもここに来ると目が冴えちゃって」
「どうして・・・」
「えっ あっ 好きなんです」
えっ 好き!?
「それはちょっと・・・」
「このアンティークな雰囲気っていうか」
恥ずかしい 一瞬自分のことだと思ってしまった
「あっ いいよね 昼間でもこの店薄暗くて」
「音楽もかなりレアだし」
「オーナーが選曲してるの 私は詳しくないから」
「そうなんですか」
「ただの店番でごめんね」
「いえっ」
「あれっ じゃあオーナーと会ったことないの?」
「はい この時間にしか来たことないので」
「そっか」
オーナーとは引き継ぎで少し話をする程度で
あまり長く話したことはない
常連の方からの話で遊び人だと勝手に思っている
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