第1章

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携帯の画面に映っていたのは、俺の車だった。 晴れ渡った青空の下、遠望のきく山の頂上から、生まれ故郷の町を見下ろせた事にホッとして、携帯で時間を確認すると共に、ニュースを見ようとニュースサイトに繋いだ途端、画面に映ったのが俺の車だった。 車は半分以上雪に埋まっており、上空のヘリコプターから空撮されているようである。 画面を見ているうちに、俺はここに至る記憶を、思いおこした。 昨日の大晦日実家に帰省する為、東京から車を走らせてきたが、山越えをするにあたり、帰省の渋滞と寒波がもたらした大雪による渋滞で、二進も三進もいかなくなった高速や幹線道路を避け、地元の人間も殆ど使用しなくなった旧道から、山越えを目指す。 俺の車の前後には、俺と同じ事を考えたらしい車が数台走っていた。 旧道は渋滞こそなかったものの除雪されておらず、俺の車のようにチェーンを巻いた四輪駆動車ならともかく、チェーンを巻いていない車は走行不可能になり、先頭の車がストップすると、狭い山道では追い越す事もできず、何も無い山の上で助けを待つ事になってしまう。 降り積もる雪に車はどんどん埋まって行き、それと共に寒さが周りから迫って来る。 ヒーターを最強にしていても寒さに耐えられず、カバンから持ってきた服を出し重ね着しても、寒気が車の中を支配した。
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