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「な、なぁ~元気だせよ?…俺が悪かった!あんたの言うことは正しいし、謝る!な?この通り!」
「じ、じ、自殺志願者…」
レキは男とベンチに座り、自分の失言を償おうとしていた。両手を合わせ、頭を下げ謝る。しかし、男の気分が持ち直す気配はない。
「こう…なんて言うか~…言い方が悪かった。でも、あんたの目は悩みを抱えた目だよ。」
「悩み…」
やはり、何か過去にあったのだろうか? その男はうつむいたまま、そう呟いた。その目はやはり哀しみをたたえていた。
「悩みがあるなら、それこそうちに来てくれよ。1人で悩む必要なんてない。みんなで分け合うんだ。ギルドってそういうもんだろ?」
男はゆっくり顔を上げ、こっちを向いた。すでに日が暮れ、辺りは茜色に染まっていた。空と同じ茜色をしたその目は少し潤んでいるようにも見えた。
「何があったか知らねぇけど、一緒に前に進まないか?」
レキは手を差し出し、そう言った。男はしばらくレキの顔を見つめた後、その手を取った。
「私の名前はソルです。よろしく。」
「よろしくな、ソル。」
ソルの目は少しだけ光を取り戻していた。
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