NO.3 意外な決着

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大男が相手に向かって怒声を張り上げる。 「ナァ、ニイちゃんよぉ…俺ァあんまり喧嘩なんざすきじゃあねぇんだが、こっちにはメンツってもんがあるんだよ…覚悟してもらうぜぇ。」 「…。」 到着したフランはレキから事情を聞いた。赤い男が大男の「仕事」を邪魔したのが原因だと言う。その「仕事」もまともなものではなく、カツアゲだ。大男の方はいわゆる、取り立て屋かもしれない。それも許された「仕事」ではないのだが。 「黙りこくってれば許されると思ってんのか!?ゴルァァァアアッ!」 大男は相手の寡黙さに耐え切れずついに襲いかかった。周りのギャラリーもその迫力に距離を取った。 大男が背の大剣を引き抜き、両手で持ち相手に振り下ろした。だが、金属マスクには当たらず地面の石畳を破壊し飛び散らせただけだった。金属マスクの男は場所を空中へと移していた。 空中で短剣を構え、マスクが襲ってくるが間抜けにも大男は獲物の方が抜けなくなっている。短剣が風切り、マスクの男が隼のごとき速さで近づく。負けを悟り、大男の顔が恐怖に歪む。 パリンと音がし、マスクがスタッと着地した。額が赤く腫れた大男の体が徐々に傾き、倒れた。マスクの男の短剣が一本壊れていた。敗者は気絶している。 峰打ち。フランの頭にその言葉が浮かぶと同時に、観衆はあまりに意外な決着に歓声を上げた。
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