NO.5 魔獣

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勧誘に失敗した後、レキはまたフィールドに出ていた。 西方砂漠地帯カイル。あたり一面砂漠のフィールドで狩場としてよく知られている場所だ。ここを横断する隊商が小型魔獣に襲われるため、軍もここの魔獣駆除を推奨している。大型魔獣が現れることは少ないため、冒険家ビギナーのレキにはうってつけの場所なのだ。 しばらく狩りを続けていたレキはあることに気づいた。 人が少ない…。普段なら10数人程いるはずなのに…。 しかし、その原因はすぐに分かった。砂漠のオアシスの近くに蠍型の大型魔獣、メタルパイクが狩りをしているからだ。毒で動けなくった小型魔獣ケルックが無惨な姿になっている。 大型魔獣は軍がクラスをつけている。魔獣のクラスはE、D、C1、C2…と徐々に危険度を増してゆき、終わりはA1、Sとなる。メタルパイクのクラスはB2。普通の冒険家一人で勝てる相手ではない。 しかし、レキはこの大型魔獣に挑むことにした。しばらく、ギルドのことをフランに頼み、ここで鍛えてきた…それなのに、この程度の相手に勝てなくてはフランやメンバーに申し訳が立たない。 物音を立てず、ライフルの射程距離まで近づく。砂丘のくぼみから銃口を出し、狙う。まだヤツは気づいてない、いける…!引き金を引く指に力を込め、レキは3連射した。 放たれた弾丸はメタルピックの脇腹に直撃し、爆発した。断末魔のような悲鳴をあげ、一瞬怯んだスキに突撃する。両手の鋏での攻撃を避けつつ、ライフルを連射しダメージを与え続ける。 メタルピックは唐突に尻尾を挙げる動作を見て、レキは叩き潰す攻撃を読んだが間違いだった。レキが横に回避したときには、尻尾の針の先から毒の液体がレーザーのように発射されていた。 まともに毒を食らったレキは吹き飛ばされていた。毒の麻痺作用で動けない。メタルピックはジリジリと近づく。レキは己の無鉄砲さを超えた無謀さを悔やみながら、目を閉じた。 「くそッ…こんなとこで…」 メタルピックは人を叩き潰すには余りに巨大な鋏を振りかざした。
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