1、この頭は遥かなミサキの夢を見る

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「お目覚めですか」 「………何だ、お前か」  美青年が、僕の視界に現れる。  死後の世界は遠ざかる。  生きている今は、重くて気持ち悪い。 「申し訳ございません、午睡(うたたね)の邪魔をする積もりでは」 「僕は魘(うな)されていたのかい?」 「そのようにお見受け致しましたが」 「そうだったのか。お前がそう言うのなら、そうだったんだろうな」  汗だくで目を覚ます。  僕は眠い目を擦りながら、身体を伸ばした。  ミサキの身体がべきべきと音を立てる。  この身体はガタが出やすい。  無理をして継ぎ接(は)ぎした肉体は、とても脆い。  メンテナンスが重要なのに、麒麟はそこのところ、たまに抜けている。  そういう時だけは、僕が出て来なければならなかった。 「申し訳ございません………マッサージの腕が落ちましたか」 「黙れ、札幌。向こうを見ろ。僕は服を着る」 「御意」  タオルを巻いただけの身なりを整え、下着を履く。  後ろ向きの北極星札幌から受け取った女子制服を着ていった。 「あれから、山鳥に付きっきりだったからな。  札幌。お前の腕は下がるどころか、上がっているぞ」 「光栄の至りです」 「そうかい」  ここ暫くの付き合いで、だんだんと分かって来た。  北極星札幌はそういう性癖なのだ。  女の下僕となった自分自身に興奮するタイプ。 「こっちは冷めるだけなんだがな」 「何か?」 「うるさい。反応しろなんて頼んでいない」 「御意」
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