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札幌の肩に、僕の身体………ミサキの身体を預けてみる。
護身術でも習っていたのか、随分と筋肉が着いていた。
包丁の傷と思しき、指先の絆創膏。
「そんなお前でも、山鳥なら、どうにかしてくれると思ったんだよ、僕は」
「………奇特な方ですね、朝日様も。
良く似ていますよ、山鳥様に」
「だから好きだけど苦手なんだよ」
「そういうものですか」
付き合った理由も別れた理由もそこに尽きる。
ミサキとそういう関係になった理由は、では、何だったのだろうか。
ふと、思った。
僕が彼女を愛した理由。
単純に『好きだから』だけの奥底に、眠る真実は今にして遠かった。
あまりに遠くて、悲しくなった。
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